意識の総和について

 これは一言でいうと、こういうことです。
※ある一つの現象がそこで起こっているとき、そこには、関わっている人達の「意識の総和」が働いている。

 ここが人間の人間たるところです。

 顕在意識では「自社製品が売れるか、どうか」というテーマを語っているつもりでいます。
 しかし、実際には、そのテーマを離れて、それに関わっている人たちの、それぞれの想いが無意識に絡んで、物事は決定へと動いていきます。
 もし仮に、結果としてその製品が売れないとしても、それは、「それぞれに関わっている人たちの意識の総和」として起きていることです。

 しかもその結果の中には、「メリット」がる!!

 このことを、私が絶対の自信をもって言えるのは、私自身の体験のみならず、数多くのカウンセリングの現場で、「その無意識の恐れ」を解消するように動くことで、すべての状況や環境が一瞬にして好転してしまうことを、体験として目の当たりにしているからです。

「そうかあ、まあ、「意識の総和」なんてものが、あるかも知れないなあ」
 だとしても、
「それが無意識に働くというのなら、確かめようがないじゃないか」
 そう思う人もいるでしょう。

 こんなとき、
「実際に起こっている現象」
 それこそが“事実だ”という捉え方をします。

 どんなに顕在意識で、
「自分が正しい。私は、間違ったことはしていない」
 などと叫んでも、「起こっていることのほうが事実」です。
 その「現象」の中に、それぞれの無意識の目的や、個々のメリットが隠れています。

 このメリットというのは、「恐れを回避できる」というのもメリットの中に含みます。
 しかも実は、この「恐れを回避したい」という目標がほんとうに多いのです。

 例えば、「その商品」に関わった人たちの心の中を覗いてみると、
・自分の立場を考えると、売れるかどうかよりも、安全を選ぼう。
・新規企画よりも、二番煎じでもいいから、手堅くいこう。冒険して失敗するよりはマシだ。
・失敗して自分の立場がまずくなることのほうが、自分にとっては重要だ。
・それが成功して、力関係が変わってしまうと困る。
・「強引に主張する」ことで、自分の力を思い知らせてやろう。
・あの人だけには、負けたくないので、反対しよう。
・相手に自信をなくさせるいいチャンスだ。

 この「意識の総和」という視点で言うと、ある「人あるいは会社」が多くの人を犠牲にしたり、踏み付けにしながらどんどん大きくなって行ったとします。
 意識の総和で言うなら、その「人なり会社が大きくなる」という現象の中には、「多くの人を犠牲にしたり踏み付けにした」という意識も蓄積されています。

 その軋轢や葛藤や抵抗や熾烈な争いといったものが、そこには凝縮されています。
 こんな「意識の総和」があるとしたら、その「人なり会社」は、いずれ崩壊することになるでしょう。
 なぜなら、それに関わっている人たちの間で、上記に記したような微妙なネガティブ意識が働いて、それが行動に反映し、形になっていくからです。
(最近は、超スピード時代の意識通りに、そのサイクルが速くなっているようです。)

 では、どうやって、好転させていけばいいのでしょうか。

 それにはまず、それぞれが、それぞれの「関係性」の中で抱いているネガティブな意識を自覚することです。

 自覚するというのは、自分を直視するということです。
 「自分の中に在るマイナス部分に目を逸らす」ことと「直視する」こととでは、雲泥の差です。
 これだけでも、劇的な変化が出てくるでしょう。

 大まかなポイントを挙げると、
・問題を直視する勇気。
・恐れの解消。
・責任の所在の明確化と責任を果たす。
・意志をもつ。
・愛情に関わる敵意や嫉妬の解消。
 などです。

 しかもそれは、「小さな芽」のうちに処理したほうがいいでしょう。だからこそ、小さなトラブルを大事にしたいのです。

 結局、「ちいさなこだわり」を解消することが、未来につながっていく。
 「未来のために」あるいは「好転する水路をつくる」ために、いま起こっている出来事を直視して「できるところからはじめる」ということになるでしょうか。

 会社でいえば、表向きの職場の環境を変えて業績を伸ばそうとするよりも、それに関わっている人々の、無意識の部分を肯定的にしていったほうが、はるかに有効でしょう。
 それができるなら、数百万(数千万?)単位の儲けにつながるコンサルを受けたに等しい効果があるのではないでしょうか。