2014.01.24
カテゴリ:私的
お墓まで
「人生にゴールはない」という話を度々するが、ついでにもう一席、小話を。
遠い親戚の話。
法事で親戚が一堂に会した。
もう自分たちの親がお迎えの近い年齢になっていることから、財産分与の話になった。
不動産についても、誰それが、あそこをとるなら、俺はこの場所だ。
いいや、そこは私だなどと、かまびすしい。
もらえるものなら、何でももらいたい。
権利を主張できるものなら、何でも主張しておきたい。
酒が入っているものだから、本音ものぞく。
土地でも何でも、身の回りにあるものはお金に換算する。
その勢いと気分で、お墓の話になると、
「ご先祖様よりも、大きくて値段の張るものを買った」
骨壷の大きさや値段にまで話が発展していった。
そのとき、次男が酔った勢いで言った。
一族を祀る墓に、
「俺にも、入る権利がある」
(今のお墓の規模では、骨壷を収納するスペースが、せいぜい二人分しかなかったのだった。)
“年功序列”でいえば、一つは大体決まってしまう。
すると、残りは一つ……。
何の話か? もちろんお墓の話である。
そのとき、嫁さんが言った。
「早い者勝ちだね」
……フーン。早い者勝ちねえ。まあ……(絶句)。
笑い話のようだが本当にあった話。
ゴールを急ぐ人は、この話が笑えない。