罪悪感を消すレッスン(1)

 あるときバスの中で、とても疲れてい「座っていたい」のに、高齢の人がそばを通り抜けて行った。

 席を譲りたくとも、重い荷物を抱えているときもある。
 重い荷物を抱えながら、高齢者に譲りたいというほどの強い気持ちは起こらない。

 そんなときは、私は譲らない。

 それでも、「自分の感覚」のほうに焦点を当てると、「気持ち良く座ってる」とは言い難い。

 私が座っている前を高齢者の人が通過するたびに、胸のあたりが、ざわざわと蠢く。
 こんな小さな場面にすら、自分は罪悪感を感じてるのか、と驚かされる。

 そこで、バスの中で罪悪感を消すレッスンをしようと思った。

「罪悪感を消すために、席を譲らないなんて、何て都合のいい発想をするもんだ」
 ですか?

 意識して譲らないのだから、眠ったふり、気づかないふりをするよりは、より罪悪感を自覚することになる。

 回数にすれば四回程度。

 確かに罪悪感のレベルは減っていく。

 自覚して繰り返せば、順応する!

(反対に、直視することを避けて、寝たふり、気づかないふりをしていると、罪悪感のレベルは減らない。むしろ、罪悪感を蓄積させることになるだろう。)

 譲りたくないときは、譲らない。

 自分のそんな「譲りたくない」気持ちを優先させて「譲らない」ことにOKが出せるようになると、「高齢者には譲らなければならない」ではなくて、“譲りたく”なる。

 明らかにその後は、「気持ち良く譲る」感覚のレベルが上がった。
 回数としても、譲る回数が増えている。

 何よりも罪悪感のレベルが、こんなレッスンで減ったことが嬉しい。
 罪悪感が減ることで、思わぬ付録が付いてきた。
 実は、ここのところが“意識のすごさ”である。(つづく)