取り返しのつく人(1)

 他者中心になって気を遣ったり、相手を窺ったりするのは、相手を傷つけたくないか、自分が傷つきたくないかのどちらかだろう。その両方でもある。

 相手を好きだから、そうする場合もあるし、相手が怖いから、そうする場合もある。

 相手を傷つけたくない。自分が傷つきたくない。いずれにしても、「傷つくかどうか」にこだわっていると、どうしても、「傷つく」という点に敏感になっていく。

 「傷つく」ことにこだわると、相手が自分に対して好意的な態度を示していたとしても、それに気づかないこともある。
 相手は、自分を責めてはいないのに、責められたと感じたりもする。
 それにこだわって、相手を責めれば、いっそう傷つけ合うことになる。

 だから「傷つくかどうか」に焦点を当てていれば当てているほど、「傷つけたくない。傷つきたくない」にもかかわらず、傷つく確率は高くなる。

 できれば、そんな「傷つくかどうか」に焦点を当ててしまう「他者中心」的な生き方には、おさらばしたい。

 傷つかない生き方?
「そんな人生なんて、あるわけがないッ!」

 もちろん、100パーセント傷つかない、なんてあり得ない。
 100パーセントを目指してもいない。

 けれども、できるだけ「傷つかない」生き方を選ぶことはできる。
 
 どうすれば……。

 それには、
「話し合える人」と付き合う。
「話し合えない人」とは、付き合わない。(つづく)