腸は「第二の脳」 知られていないすごい作用

腸は「第二の脳」 知られていないすごい作用

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00463/052600026/

近年、「脳腸相関」といって、「脳と腸は互いに影響し合っている」ことが実証されつつあるからです。
 脳の状態が腸に影響を与えるだけでなく、腸の状態が脳を変える力を持つ。そうした特徴から、腸は「第二の脳」ともいわれています。

 特にここ数年は、腸内細菌が脳の働きに与える影響についての研究が進んでいます。例えば、2020年に報告された、国立長寿医療研究センターの佐治直樹氏らの研究によると、「腸内細菌が代謝の過程で生み出す乳酸が多い人では、認知症リスクが低い」という相関関係が明らかになっています(※1)。
 また、同じ研究グループの別の報告では、認知症の人と認知症でない人の腸内細菌を比較すると、認知症の人の腸内細菌には、種類が明らかにされていない不明の菌が増えていることも分かりました。

 この脳腸相関は、おそらく研究の進展以上に、日常生活で実感されていることではないでしょうか。実際、古くから私たちは、「腹言葉」という形で脳と腸の関係性を認識してきました。
 例えば、激しい怒りを抑えきれない状態を表す「腸(はらわた)が煮えくり返る」、非常に苦しくて悲しい気持ちを表す「断腸の思い」、納得がいくという意味の「腑(ふ)に落ちる(腸は五臓六腑の六腑の一つ)」など。感情や思考と腸が密接であることが分かります。

 また、「直感」は英語で「Gut Feeling」といいますが、「Gut」の意味は「腸」。「ガッツを出せ」のガッツ(Guts)も同様で、内臓=体の奥にある底力といった意味です。日本語だけではなく英語でも、感情や行動を表す言葉に「腸」が使われているのです。
 私たち人間は人種を問わず、感情や行動を司る脳が腸とつながっていることを、感覚的に知っているからではないか、と想像せずにはいられません。